お待たせいたしました。
先月いただいておりました、ひっぱりだこさんからのご質問へむけての
ムツさんからの返信が届きました。

まずは、ひっぱりだこさんのメッセージから
ご紹介しましょう。

犬を飼っていらっしゃる方も、そうでない方も、
同じような悩みを持っていらっしゃる方も、そうでない方も・・
ご一緒に、いろいろ考えながら
お読みいただければ幸いです。

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「ムツゴロウさんに聞いてみよう」のコーナー(?)への質問です
みなさんの飼い犬に関する相談、とても参考になり、熟読しています。
私も飼い犬との関係に悩む一人です。

しつけ本は世の中に山ほどでまわり、ネットでもたくさんの情報が得られます。
私も犬を飼う前に数冊の本を頭の中にインプットさせ、
文字の上での知識は準備万端!と犬を迎えました。

 ところが実物を前におろおろするばかりです。もちろん本で得た知識なんて、
どれを実行しても思うようにいきません。
自分の思い描いていた犬ライフとはほどとおく、
ふつーに散歩している飼い主さんと犬をみるたびに
「なんでふつーのことが私にできないの?」と自分に対しがっくりしてしまいます。
(具体的にはうちの大型犬がすれ違うよその犬に対しかたっぱしからガウガウ言ってしてしまうことです。)

 子供のころムツゴロウさんの本を読み漁った私は王国の動物たちと、
ムツゴロウさんの心と心のふれあい、これがほんとの動物との接し方だと思っています。
自分に誠意・愛情があれば動物も答えてくれる、そう思っています。
知識も必要ですがスピリチュアルなものだと思っています。
以前の私は野良猫のほうから寄ってきて、野鳥さえもなついてきました。
言葉の通じない相手と心が通じ合う「あの、感覚」が今わからなくなってしまいました。

 今、犬との対等な関係を大切にするドックトレーナーさんに見てもらって勉強中ですが
それも「犬と共鳴しあう、あの、感覚」ができてないと言われ、自覚してるだけに自己嫌悪です。
わかってるけどできなくなってしまったのです。

 犬のオーナーであることの責任感と本の知識が素直に接することを邪魔しているのでしょうか?
かといって、知識をもたずに「愛の力でねじふせろ」みたいなやり方には賛成できません。
ムツゴロウさんは科学的・理論的知識とそれでは説明のつかない「愛の力」をどう折り合いをつけているのですか?

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◆ムツさんから、ひっぱりだこさんへの返信 ◆

ひっぱりだこさん

あなた!
すてきな人みたいですね。

でも、困ってる。悩んでる。

そもそもですね、
「犬はこんなものだ」
「こういう犬が理想的だ」
そういうイメージを持っていませんか?

「私の犬はこう育てたい」
そんな意欲もお持ちですね。

犬は生きてます。
どんどん育ち、どんどん変化していきます。
それを知識で、どうしよう、こうしよう、などど考えず
どうして、あるがままを受入れられないのでしょう。

「一緒に生きようね」

それで十分ではないでしょうか。

愛にとって有害なのは、比較です。
自分の子だとしたら、
「よその子はこんなにもいろいろ」と
比べないことです。
理想の形なんでクソクラエです。
今、目の前にいる、自分を信じてくれている
温かい血が流れているものの方が
理想の百万倍の豊かさを持っています。

ノラ猫がなれた。
野鳥がなついた。

それ ごらんなさい!
あなたは、ノラ猫をこうして、ああしてなどと
考えていません。
野鳥をトレーニングしよう、などと考えていません。
よかったね、一瞬でも、共に遊べたね、と喜んでいるはずです。
数冊の本を読んで、付き合ったわけではないですね。

自分の犬。

心を空にして、キミが好きなんだよ、愛してるよ、
そう言うのが原点です。

子供のような心。
子供は、自分の親をみにくいなどと思いません。
あるがままを受入れる。
それこそ、豊かな愛です。

私は、自分の犬たちをコンクールに出したことなどありません。
いてくれるだけで世界一。そう思っています。

私が寝ていると、鼻の穴の中に犬歯を
突っこむ奴がいました。
鼻はいつも傷だらけ。
叱ったこともありません。
やめさせようとも思いません。
コンチクショウと強く抱きしめるだけ。
倖せが、きらきら光ります。

あるがまま。

愛は、そこから出発します。

 BY ムツさん 畑 正憲

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ひっぱりだこさん。

以上がムツさんからのお返事でした。
いかがだったでしょうか。
もっと、こんなことも聞いてみたい、
というお気持ちになりましたら
また、ご遠慮なくムツさんに聞いてみて
くださいね。